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厚生労働省が子宮頸(けい)がんワクチン(HPVワクチン)の積極的勧奨を検討

厚生労働省が子宮頸(けい)がんワクチン(HPVワクチン)の積極的勧奨を検討

先日(令和3年8月末)、厚生労働省が子宮頸(けい)がんワクチン(HPVワクチン)の積極的勧奨を検討するという報道がありました。

専門からは離れますが、以前からこのHPVワクチンに誤解を抱いている方が多いと感じています。
小学生の子供を持つ親としても今回は、子宮頸がん及びそのワクチンについて簡単にまとめていきます。

子宮頸部の場所はどこ?

子宮は骨盤内にあり、膀胱の後ろ、直腸の前に位置する中腔性(ちゅうくうせい)器官です。
上2/3の洋梨状の形をした部分を子宮体(たい)部、下1/3の腟(たち)につながる細長い部分、子宮の入り口を子宮頸部といいます。

子宮頸がんとは?

子宮頸がんは、子宮がんのうち約70%を占めます。
子宮体がんと比べ若い世代になりやすいがんで、30歳代~40歳代、近年は20歳代も増加傾向にあるようです。

一生のうち73人に1人は子宮頸がんと診断され、国内において、1年間に約1万人の女性がかかり、約3000人が死亡しています。

1994年生まれから1999年生まれの人たちでは約70%あったHPVワクチンが2000年生まれ以降は1%未満に落ちていきました。

接種率の減少とともに2000年以降は患者数も死亡者も増加傾向です。

子宮頸がんの原因は?

ヒトパピローマウイルス(HPVウイルス)というウイルスの感染がほとんどです。このウイルスはありふれたウイルスであり、性交渉の経験がある50%から80%が感染しています。

感染しても90%の人は免疫の力で自然に排除されますが、10%の人ではこのウイルス感染が長期間継続します。

これにより感染した部分に異形性を生じ、子宮頸がんが発生することが分かっています。

マスコミ報道により接種率激減!

2013年3月に一部新聞が副反応疑いの報道をしたのをきっかけに、ネガティブな側面ばかりの情報を報道各社が流しSNSでも様々なデマ情報が錯綜しました。

これにより、国は2013年6月14日に「定期接種から除外はしない。しかし、積極的に接種をすすめない」と判断しました。

その結果70%まであったHPVワクチンの接種率がわずか3年で1%を切るまで激減しました。

大変残念ながら、今回(2021年9月現在)のコロナ禍のマスコミによる過剰な不安煽(あお)り報道も似たものを感じます。

他国ではポジティブな方向に!

日本でのネガティブな報道により他国でもSNSなどを通じ広がり接種率が減少する国もありました。

しかしながら、デンマークやアイルランドでは国・保険機関・関連学会などの協力によりワクチンの正しい情報を伝え徐々に接種率を戻していきました。

実は男性にも接種を推奨している国もあります。
アメリカやカナダなど20カ国以上です。

男性でも中咽頭がん、陰茎がん、肛門がん、尖圭コンジローマなどを発症する可能性があります。

日本では男性への適用は承認申請中です。

世界中で広く接種されているワクチンですが、日本だけが接種率が極端に低くなっています。

子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)によるリスク、副反応

副反応としてさまざまな症状が訴えられています。

その後の調査によると、HPVワクチンを打った子たちの群と打っていない子たちの群とで、それらの症状を訴える割合に差がないことが分かりました。

つまり、HPVワクチンが原因とはいえない・・・
ということです。

もちろん、そのような症状自体を否定することもあってはならないと思います。

その症状でツラい思いをしていることは事実です。必ずしも病気や薬が原因とは限らず、部活や友達関係、家族関係のストレスなど、思春期特有の問題から起こることもあるといわれています。

そういった憂慮すべき事態も事実として認識することは大切です。

HPVワクチンの導入によるベネフィット(効き目)と効果推計

海外ではHPVワクチン導入により、ワクチン型HPV感染が77.9%減少し、また子宮頸部異形成が51%減少が報告されています。

HPVワクチンの接種により、10 万人あたり 595人~859人が子宮頸がんになることを回避でき、また10 万人あたり 144人~ 209人が子宮頸がんによる死亡を回避できる。
つまり6割から7割が予防できると期待されます。

まとめ

子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)により、副反応が出たという事実もあるかもしれません。
しかし、ワクチンにより救えた命があるのも事実だと思います。

私自身リスクとベネフィット(効き目)を把握し、マスコミに惑わされず、その上で子供たちに接種すべきかを考えていきたいと思います。

日本では、小6~高1まではHPVワクチンの予防接種を受けることができ、合計で3回の接種が必要です。

接種すべきかを検討している方は、自分自身で調べ専門医に相談するようにしてください。

(参照 参考文献)
・南江堂 解剖学 第2版
・(交社)日本産科婦人科学会HP
・国立がん研究センターがん情報サービス
・厚生労働省HP
・NewsPicks 産婦人科医 稲葉可奈子
 命を守ろう。日本だけ接種が低いHPVワクチン

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