お悩み改善例
10年間、塁間の距離を投げられなかった元高校球児が、レフトからキャッチャーまでの距離を投げれるまでに──ローテーターカフ障害への統合的アプローチ 部位:右肩関節(肩甲上腕関節) 年齢:20代 性別:男性 仕事内容・趣味:野球(学生時代は部活動で投手経験あり)
主症状
野球でボールを投げられない。
10年前に発症し、それ以降、塁間(約18.44m)すら投げることが困難。
随伴症状
大きな外傷歴なし。
痛みよりも「力が入らない」「肩が抜ける感じ」が主訴。
検査
肩関節内旋制限(ベッド上でのIRテストにて)
2ndポジションでの筋出力低下(特に外旋方向)
投球時のリリース動作で肩甲骨の後傾および外旋の遅れを認める
治療
●徒手療法
腰背部筋群(広背筋・脊柱起立筋)からの連鎖解除
→肩関節の可動に関与する体幹安定性の確保を目的に施術
頸部〜肩甲帯筋群(肩甲挙筋・僧帽筋・小菱形筋)へのアプローチ
→肩甲骨の安定性と可動性の正常化を図る
肩関節周囲、特に棘下筋の施術
→2ndポジションでの反応から、棘下筋の機能不全が強く関与していると判断
●鍼治療
ローテーターカフ(棘下筋・小円筋・棘上筋・肩甲下筋)
→筋膜間の滑走性と血流改善を目的に刺鍼
三角筋前部・中部繊維、肩甲骨内側縁付着部
→肩関節外転動作に関与する筋の機能活性化
治療頻度および治療期間
1週に1回ペースで施術(計4回)
→4回目来院時、「塁間のスローイングが可能になった」と報告
以後、2週に1回ペースで施術(追加3回)
→計7回で「レフトからキャッチャーへツーバウンドでスローイング可能」まで回復
経過および考察
発症から10年という長期間の機能障害であったが、筋出力や可動域の制限に関しては構造的損傷よりも運動連鎖の破綻と筋膜性の機能不全が主因と考えられる。
特に、投球動作においては下半身〜体幹〜肩甲骨〜上腕骨への力の伝達が不可欠であり、本症例では体幹からの出力が肩関節に伝わらない「動的分離の不全」が確認された。
棘下筋は肩関節外旋と求心位の保持を担う筋であり、2ndポジション(90°外転位)での筋出力低下はローテーターカフの機能障害を示唆していた。徒手療法と鍼治療によって棘下筋の滑走性改善・血流促進・神経筋制御の再構築が進み、動的安定性が回復したと考えられる。
また、腰背部筋群や頸部筋との連動性を改善したことにより、肩甲骨の後傾・外旋・上方回旋のスムーズな誘導が可能となり、投球時の肩関節ストレスが低下した。これにより、運動学的な再構築が起こり「投げられなかった肩」が機能的に再活性化された。
【問診表より抜粋】
まとめ
長期的な投球障害に対しても、単なる局所治療にとどまらず、全身的視点(運動連鎖・筋膜連結)に基づいた統合的アプローチを行うことで、短期間での機能回復が可能となる。
特に、棘下筋を中心としたローテーターカフの評価と再教育、肩甲帯・体幹の運動統合が治療の鍵を握っていた。
施術内容および費用
施術内容:徒手療法・鍼治療(局所および関連部位)
費用:当ホームページ記載の料金表に準ずる
リスク
一時的に治療後の筋肉痛様の違和感や全身の倦怠感を感じる可能性あり
血流改善・神経筋再教育の過程で、一時的な症状の増悪や反応性の疼痛がみられることがあるが、通常は数時間~1日程度で軽快













