お悩み改善例
炎症反応、夜間痛が認められた肩関節疾患の一症例 年齢:80代 性別:女性 仕事内容:主婦
主症状
右肩関節の運動制限と運動痛。夜間痛が顕著。
検査
患部の熱感、日常生活での動作困難(衣服の脱着やドライヤー使用時の痛み)。
運動検査にて、以下の結果を確認:
肩関節屈曲:90°で制限。
水平屈曲:著明な制限。右手で左腕まで届かず。
炎症症状(熱感)があるため、初期治療では患部への直接的アプローチを回避。
治療
炎症症状(熱感)があるため、初期治療では患部への直接的アプローチを回避。
徒手療法:関節周囲の柔軟性向上、循環改善を目的で実施。
鍼治療:患部を避け、周囲の筋膜および関連部位にアプローチ。
治療後期に運動療法。
治療頻度および治療期間
1週間に1回のペース
9回の治療を実施。
経過および考察
初期段階(1~3回目)
患部の熱感が強いため、直接的なアプローチを避け、肩関節周囲の大円筋、広背筋、前胸部筋、肩背部の僧帽筋、脊柱筋など肩関節挙上に関連している筋肉を治療。徒手治療と鍼治療を実施し、これにより、炎症を悪化させずに以下の効果が得られたと考えられる。
循環の改善:鍼刺激により内因性オピオイドが放出され、痛みが緩和。
筋膜リリース:肩周囲の筋膜が柔軟性を取り戻し、運動可動域が拡大。
中期段階(4~7回目)
炎症が軽減した4回目以降から、患部への軽度の徒手療法と鍼治療を開始。徐々に深層部への刺激を強化。これにより、以下の生体反応が観察された:
コラーゲンリモデリング:患部の軟部組織が再生を始め、可動域の改善が進行。
疼痛閾値の低下:循環改善により発痛物質などが代謝されたため疼痛閾値が低下。
後期段階(8~9回目)
ドライヤー使用や衣服の脱着が問題なくできるまで改善。これにより患者の日常生活の質が向上した。治療が進むにつれ、患部の筋力回復も顕著となり、肩関節の安定性が増加した。
【初診時】

【2回目(1週間後)】

まとめ
考察:
治療効果が出た理由として以下のようなことが考えられる。初期段階で熱感がある患部への刺激を避け、周囲組織をターゲットにしたことが炎症悪化を防ぎ、回復を促進。治療過程で鍼治療が交感神経抑制を誘導し、血流改善が促進され、さらに徒手療法による筋膜リリースと鍼治療の相乗効果で、組織再生と痛みの緩和が加速された。
考えられる理学的反応
- 鍼刺激による内因性鎮痛物質(β-エンドルフィン、セロトニン)の分泌。
- 運動療法による滑液の分泌促進と関節可動域の回復。
- 継続的な治療により、筋膜や靭帯の線維化が防がれた。
最終的に、患者はドライヤーや衣服の脱着を問題なく行えるまで回復。9回の治療を通じて症状が著明に改善し、高齢者における肩関節疾患治療の一つの成功例となった。
臨床的意義
本症例は、高齢患者における炎症管理の重要性と、徒手療法と鍼治療の効果的な併用を示す好例である。適切な治療計画と患者の協力が、生活の質を飛躍的に改善する可能性を示唆した。
施術内容および費用
施術内容:徒手治療 ・ コンビネーション治療 ・ 鍼治療
費用:当ホームページ料金表参照
リスク
治療刺激と血流改善のため、一時的に筋肉痛のような症状や倦怠感を感じることがある。